⻭周病とは
⻭垢(プラーク)中の⻭周病菌がきっかけで歯茎が腫れたり、骨が溶けてしまう状態のことです。喫煙や遺伝、全⾝疾患など多くの因⼦が関係しているといわれ、患者さん側の反応によって進⾏の仕⽅や重症度が異なります。
⻭⾁炎・⻭周炎について
⻭⾁炎
⻭の周囲の⻭茎が腫れて⾚くなり、触ると出⾎してくる状態です。⻭垢と⻭⽯を除去し、適切なセルフケアを⾏うと症状が改善します。放置すると状態が悪化して⻭周炎へと進⾏します。
⻭周炎
⻭⾁炎が悪化し、⻭を⽀えている⾻まで炎症が広がっている状態です。⻭周炎が進⾏してしまうと膿が出たり⻭がぐらついて抜けてしまうこともあります。
歯周病と全身の健康との関連について
アルツハイマー型認知症
⻭周病菌がアルツハイマー型認知症の病態を悪化させる可能性があると考えられています。
⼼疾患
⻭周病菌が⾎管に⼊り込んで傷をつけたり、⻭周病によって産⽣された物質が⾎管に炎症を引き起こすことで、⼼疾患の原因となる動脈硬化を誘発・悪化させる可能性があります。
⾮アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
⾎管に侵⼊した⻭周病菌や⻭周病によって産⽣された物質が肝臓に悪影響を及ぼし、病態を悪化させる可能性があると考えられています。
関節リウマチ
⻭周病と関節リウマチには共通点が多いことに加え、関節リウマチ患者は⻭周病の罹患率が⾼く、より重症化しやすいと考えられています。
誤嚥性肺炎
⻭周病菌や他の⼝腔内細菌が飲⾷物や唾液を介して誤って肺に⼊ると、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
糖尿病
糖尿病が⻭周病を悪化させる⼀⽅で、悪化した⻭周病が糖尿病に悪影響を及ぼすことがわかっています。
肥満・メタボリックシンドローム
肥満の⼈は⻭周病になりやすく、内臓脂肪から産⽣された物質が⻭周組織の炎症に悪影響を及ぼしていると
考えられています。
早産・低体重児出産
⻭周病に罹患している妊婦はそうでない妊婦と⽐べて早産や低体重児出産のリスクが⾼いことが報告されています。
⻭周病治療の流れ
当院は⻭周病学会のガイドラインに沿って治療を進めています。
⻭周病検査後、⻭周病の状態を診断します。歯周基本治療で⻭茎の上の⻭⽯取り(スケーリング)や⻭茎の下の⻭⽯取り(ルートプレーニング)を⾏ったのち、再度⻭周病の検査をし再評価をします。
再評価での状態によって⻭周外科処置を⾏うかメインテナンスに移⾏するかを決定します。
⻭周外科治療
(フラップ⼿術)
フラップ⼿術とは
⻭周ポケットを浅くすることが⽬的となります。深い⻭周ポケット内の⻭⽯や病変を除去し、患者さんがセルフケアをしやすいように周りの組織を整える⼿術です。
治療を行う状態
⻭周基本治療を⾏ったのち、⻭周ポケットが5mm以上あり、⻭茎の中に炎症が残っている部位が⻭周外科治療の適応となります。
⻭周組織再⽣療法
⻭周組織再⽣療法とは
⻭周病で失われた⻭周組織を再⽣することが⽬的となります。⻭周組織が再⽣することにより、⻭周ポケットが浅くなったり、⻭の揺れが⼩さくなります。結果として⻭の寿命を伸ばすことにもつながります。
治療を行う状態
⾻が垂直的に溶けていて、周りに⾻の壁が残っている場合が適応となります。適応可能かどうかの診断のためにCTを撮影し状態を確認することが⼤切となります。
最後に
⻭磨きをした時に⻭茎から出⾎したり、⻭がぐらつくなどの症状がある⽅、ご⾃⾝の⻭周病の状態が知りたい⽅など、何かお困りのことがございましたらお気軽にご連絡下さい。